Kase Column

加瀬コラム 2009年2月更新


軍隊の無い、永世中立国のコスタリカ

この問題については新藤氏および小澤氏が素晴らしい論文を発表しているので、そちらを先に読んで頂いた方が良い。

新藤論文 最近のコスタリカ評価について若干の問題

小澤論文 コスタリカの中立宣言をめぐる 国際関係と国民意識

 

さて、私は上で紹介した2人とは別の角度というか、新藤氏と小澤氏が立場上、書けなかったと思われる事柄について書いてみたいと思います。

 

誰も戦争なんて嫌です。戦争を求めるのは戦争によって利益を得る一部の人。あるいは国を蹂躙されている状態から脱出したいと思う人々。

通常の人であれば戦争に行って死ぬのは嫌。

自衛隊員だって嫌なはず。最初に戦争となった場合、前線に送られて死ぬのは彼ら。

なので平和を求める思想や運動は間違っていないと思うのだが、その裏付けとしてコスタリカを利用するのは理解出来ない。

コスタリカは軍が無いと言うか、何を軍隊とするのか、軍隊としないのかという事になる。

日本において自衛隊も軍隊とは一線を置いているようだが、あれはまぎれもなく軍隊だろう。

イギリスにある国際戦略研究所(ミリタリー・バランス)は日本の自衛隊を軍隊としている。

同様に、コスタリカ警察の1部も軍隊としている。

http://www.iiss.org/
国際戦略研究所のホームページ

コスタリカ警察は90mmのロケット砲を所持しているようだ。

私が軍事オタクで無いので、それほど詳しいわけでは無いが、90mmロケットランチャーは対戦車用として用いられる事が多い武器。

人口からの比率において日本の自衛隊とコスタリカの特殊警察は同数である。

それでも、日本の自衛隊が軍隊じゃないと言えば軍隊では無いし、コスタリカの警察も軍隊じゃないと言えない事もない。取り方の問題。

ただし、コスタリカ軍隊じゃなくて警察が有事となった場合、自国の装備だけで防衛できるかとなると疑問だ。まず無理だろう。

そのような有事を考え、コスタリカは米州機構及び米州相互援助条約に依存している。

アメリカに守ってもらっている日本に近い。

 

上の事柄から、はたしてコスタリカは本当に軍隊の無い中立国なのであろうか?

2007年、コスタリカは60年以上も国交があった台湾と国交を断絶し、中国と国交を結んだ。これは中立国と言われる国の行動だろうか?

 

私見であるが、コスタリカを軍隊の無い中立国と言っているのは、日本における一部の左翼思想の人たちと、それを自分の収入につなげているコスタリカおよび日本の運動家と、自国についてロクに勉強をしていない大半のコスタリカ国民だけだと思われる。

コスタリカは親米国家。中立国では無い。

各国の紛争や問題を上手に利用して、自国は巻き込まれず、しかしコスタリカをアピールする事は行い、それらを利用して先進国やお金のある国から金を引き出す。

口は出すけど金は出さない。人は出すけど、その代償がコスタリカをアピールするのに値すると判断した時だけ出す。世界の紛争には巻き込まれたくないし巻き込まれない。自国だけは平和にいたい。

小国が何をしたら、どこまで言ったら怒られるか、叩かるかの線引きを見極め、ギリギリの線で行動するのが上手な国。

悪い言い方をすれば狡猾。良い言い方をすれば小国が出来る限りの事を最大限に行う政治バランスに優れた国。

イデオロギーを表に出しつつイデオロギーよりも国益を重視する国。

私はコスタリカを悪く言っているわけでは無い。小国が世界の荒波に巻き込まれず、国民が幸せに暮らせる道を選択する政治手腕は本当に素晴らしい。小国が生き延びる術だ。

コスタリカを褒めるのであれば、軍隊が無いとか、永世中立国とか、そのような妄想では無く、国益を追求する優れた政治手腕を見て欲しい。

小国のコスタリカと経済大国の日本を一概に比較する事は出来ないが、派閥騒動のみに全力を尽くす日本の政治家は、狡猾で国益を追求するコスタリカの政治を見習って欲しい。

そのように考えております。

以上。

PS.
コスタリカの政治家も国益を追求していますが、シッカリと自分の懐が膨らむ事も追及しています。これは見習わないでください。

 

 

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